Where I Work

Amy MacLeod

Credit: Nature by Andrea Varela

私は東太平洋のガラパゴス諸島(エクアドル領)の固有種であるウミイグアナ(Amblyrhynchus cristatus)を研究しています。

イグアナは泰然自若としていておかしみのある生き物です。私の博士号研究のテーマは、ガラパゴスに生息するさまざまな種の違いを理解することでした。当初は、自分は研究室にこもって、エクアドルの共同研究者から送られてくる試料からDNAを抽出していれば良いと思っていました。ところがいざ研究を始めると、ガラパゴス諸島に生息する種は人間が近づきにくい場所に点在していて、現実的な個体数の推定値を入手できないことなどに困らされるようになりました。

2015年に博士課程を終える時、同僚から、ドローン技術を利用して遠隔地を調査することを検討してみてはどうかと提案されました。この小さなアイデアが、「空から見たイグアナ(Iguanas from Above)」というプロジェクトに発展しました。私は2020年にライプチヒ大学(ドイツ)と英国の慈善団体ガラパゴス保全トラストから資金を得て、この手法の実現可能性を探るためにガラパゴス諸島に戻りました。それからほんの数年で、私たちのチームは1万7000人以上のオンラインボランティアの協力を得て、ガラパゴス諸島全域の調査を終えることができました。

この写真は、ガラパゴス諸島最大の島であるイサベラ島の南東の海岸で数カ月前に撮影したもので、ドローンで確認したイグアナを捕獲して体重を測っているところです。ここはこれまであまり調査されてこなかった場所です。ガラパゴス諸島は孤立した島々で、陸上には大型の捕食者がいないため、野生動物の多くは、人間を含む天敵がいない中で進化してきました。そのため彼らは、人間や、他の潜在的な捕食者を恐れることがありません。

ガラパゴスの野生動物たちの生存本能の欠如は愛すべきものですが、彼ら自身にとっては危険でもあります。私は自分たちの研究が、ガラパゴスの野生動物たち、少なくともウミイグアナの保護活動に役立つことを願っています。私はまた、野生動物の調査にドローンを使うという手法が、今や、他の科学者らが世界各地の遠隔地でテストできるツールになっていることを誇りに思っています。

翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 12

DOI: 10.1038/ndigest.2025.251252

原文

Iggy bop: how I tune in to the needs of Galápagos marine iguanas
  • Nature (2025-09-11) | DOI: 10.1038/d41586-025-02870-7
  • Anna Napolitano